彼と僕のこと Archive

30手前の男の子の年の越し方

【12:00 秋葉原電気街口集合】
前日に待ち合わせ場所を秋葉原の電気街にしてくれと彼から連絡が入る。
ふたりで秋葉原に来るのははじめてだ。来ると思ってもいなかった。
目当ての物を探す途中で彼がガンダムのプラモデルにちょっと夢中になる。先月買った DS のGジェネをやって以来ちょっと欲しくなったらしい。
また寄り道。
今度はスーパーファミコン。僕が前から「アマゾンさんでスーパーファミコンを買いな」としきりに勧めていた。タクティクス・オーガをやりなって。ロマサガ3は名作だよって。
20分くらい店内をウロウロして結局買った。
その後、ソフマップへ行くが目当ての物が売っていなかった。僕はそこでバルクのメモリ 2G を2枚。

たこ焼き休憩。彼は塩だれ、僕はねぎポン。

たこ焼きが微妙に呼び水になってお腹が空いてくるも、その後に立ち寄ったお店でやっと目当ての物が見つかる。PS のメモリカード。PS2 のではなく PS の。

【14:30 チェックイン】
途中、コンビニでコーラ、カップラーメン、ジョージアをそれぞれ2つづつと 1L のお茶を1本買い、宿泊先の品川プリンスへチェックイン。
年末の品プリは意外と混んでいて家族連れやらカップルやらサッカー部の高校生やらでごった返していた。
チェックインを済ませ部屋へ入るととりあえずジョージアと煙草。「家族やカップルばっかりだね」とか「そうですね」とかとか。
リュックから DS を取り出してボンバーマンかぷよぷよかでちょっと悩んでボンバーすることに決定。
ナイスボンバーを何度か出して今度はリュックから PS2 とファイナル・ファンタジー・タクティクスとファンタジーゾーンを取り出す。PS のメモリカードはファイナル・ファンタジー・タクティクスのため。
前日の電話で

彼:「アマゾンでスーファミ見てみたんだけど、やっぱソフトの方がこれと言ってなくてさぁ。
   で、FFT やろうかなと思って。PS の」
僕:「FFT なら持ってるから貸してあげるよ」
彼:「マジでか?!持ってるのか?!」

という流れ。しばらく彼が FFT をやるのを眺める。

【18:30 ガキの使いやあらへんで】
今回ふたりで品プリに泊まることになった理由はこれ。
年明けのおデートのときに「年末のガキ見ました?」と言われ「見てない」という会話を2年くらい続けていた。僕のテレビを見る習慣がなくなってしまったからだ。
その度に「じゃあさ、大晦日にどっかホテル予約してピザ注文してふたりで見ようよ」なんて冗談半分で言っていたのが今年になってようやく実現したのだった。
もうテンション上がりっぱなしの笑いっぱなし!
頃合をみて注文しておいたピザが届く。
ピザにポテトにチキンにコーラに、もう言うことなし!
品プリに止まっているどの家族よりもどのカップルよりも笑ってたと思う。

【26:00 鯉の愛で方、鶏の愛で方、女の子の愛で方】
ガキの使いが終わってだらだらとテレビを見ながらボンバー。
彼がテレビのチャンネルをパチパチするも特におもしろそうな番組が見当たらないが NHK で鯉の愛で方的な番組をやっていたのですかさず、「今のがいい!鯉のやつ!!」と NHK にチャンネルを戻させる。その後の鶏の愛で方的なものも見る。
ベッドにもたれた背中に定期的な振動を感じる。一方僕は鯉と鶏を愛でていた。
翌朝、彼に聞いてみたら「それはないな」と一蹴される。

【28:00 就寝】
おやすみなさい。

【10:00 起床】
おはようございます。

【11:00 チェックアウト】
途中、「チャックアウトしたいんやけども」という僕の台詞が彼に刺さったらしく、調子に乗って何度か繰り返していたら「しつこいですよ」的なことを言われる。
ショック!さわさんショック!!

【12:15 3時間パック】
チャックアウト後、何となく渋谷へ向かってドトールでお昼ごはん。
彼がかくかくしかじかでまだ帰りたくないと言うので29歳と28歳の男の子ふたりが元旦から渋谷のマンガ喫茶へ行くでござるの巻。
マンガ喫茶では昨日食べられなかったカップラーメン(日清のカレー味)をすすりながら持ち込みの PS2 で TTF を進める。僕は隣でグーグルさんを使って記憶が曖昧になっている FFT のことを調べる。

【15:15 解散】
今月のおデートの日付の確認をして新宿駅で解散。
来年も大晦日にダウンタウンがやるなら僕らもやりたい。

1月の彼と僕のこと

いつもの場所(南青山のモッズヘアーの前の広場)でいつもの時間(午後1時)に彼と待ち合わせ。

(中略)

ということで、さっそく試してみる。
お互いに DS の電源を入れて画面を見ていると彼が失笑する。
「しまった!」な顔をしながら DS から取り出したそれを僕に見せる。

脳トレだ。

確かに、最近の彼は彼らしくない凡ミスをやらかしたりするのでトレーニングは必要かもしれない。
でも、脳トレをやってて肝心の FFⅢ を忘れるようでは本末転倒ってやつだと思う。
仕方ないので渋谷の TSUTAYA でふたりして買ったマリオカートに没頭する。

久しぶりに彼のこと

会社から帰ってきて携帯を覗いてみると不在着信が1件。
誰からかと思ってみれば彼からだ。
彼から電話がくるなんて年に指折り数えるくらいだ。メールだって数ヶ月に幾度あるかしれない。
きっとハプニングがあったに違いない。
そう思いながらかけ直してみると、「DS を買った」とか「FFⅢを買った」とか「モグネットがどうの」とか「たまねぎ剣士がどうの」とか。
「えっ、やりこみたいの?」と僕がたずねると、「はい、やりこみたいんです」と彼。

FFⅢ をやりこんでたまねぎ剣士のジョブを手に入れて最強装備も手に入れて裏の世界のボスを倒すには DS で友達とメールのやりとりをしないといけないらしい。そこで僕にわざわざ電話をかけてきのだった。
僕も DS と FFⅢ は持っているが DS でメールをやり取りする環境はない。彼はそれも持っている。
まぁ、そのうち環境は整えるんで待っていてくださいと言い、彼の FFⅢ のジョブを聞いてみると

【彼のパーティー】
ルーネス 賢者
アルクゥ 導師
レフィア 忍者
イングズ ナイト

【僕のパーティー】
ルーネス 竜騎士
アルクゥ 導師
レフィア 忍者
イングズ ナイト

ルーネスのジョブ以外同じ。 物語ではどう見てもルーネスが主人公的な存在なんだけど、彼は勝手にレフィアを主人公にしているみたい。並び順もわざわざレフィアを先頭にもってきているらしい。
僕:「レフィアの忍者ってかわいいよね」 彼:「そうなんだよ、かわいいんだよ」 僕:「今2次元をかわいいって言ったね」 彼:「気持ち悪いね」 僕:「気持ち悪い。でも、かわいいよね」 彼:「かわいい」
彼の意外な一面を見た。 よく知らないけど、Wi-Fi って言うの?その環境整えてみようかな。彼、たまねぎ剣士になりたいみたいだから。

8月の彼と僕のこと

僕:「来週の土曜がダメになっちゃったんだけど、今週の土日か来週の日曜はどうでしょう。」
彼:「じゃあ来週の日曜日で」
僕:「おっけー。ごめんね。」

1月以来まともな「彼と僕のこと」を書いてはいないものの毎月会えている。いや、7月は会ってないかな。
待ち合わせのことがあった後、彼に「僕らっていつ会う約束してるんだっけ?」と聞いてみた。

「15日の後の土曜日」

彼は即答した。
そうだった。そんな約束をした。前、僕が勤めていた会社の給料日が 10日で「じゃ、15日がちょうどいいね」
なんて約束をしたのだった。
そんなわけで、今月は 18日の土曜日の予定だったのだけれど、あいにくその日は僕に用事ができてしまったので「かくかくしかじかでどうしよっかメール」を送って今月は 19日の日曜日となったのだ。

当日はよく晴れていてまだまだ夏だった。
いつものベンチに向かう途中で彼の後姿を見つける。
彼は僕に気付くことなく自動販売機で缶コーヒーを買って歩をすすめる。
その自動販売機で僕も缶コーヒーを買って彼を追いかける。

僕:「同じ電車だったんだね」
彼:「いや、僕の方が 1本先。トイレ寄ってたから」
僕:「・・・。って言うか、何でビーチサンダルなの?!」
彼:「何でビーチサンダルじゃないんですか?」
僕:「5月、6月って僕ビーチサンダル履いてたじゃん。でも、ビーチサンダル履いてこなかったでしょ?」
彼:「今が夏本番ですよ」
僕:「え〜〜〜。そうだけどさ〜〜〜。え〜〜〜・・・」

まぁ、僕がビーチサンダルにこだわるものわけがあって、表参道ヒルズができて、表参道の歩道の脇に小川的なものができたのだ。
去年の夏に「あの小川にビーチサンダルで入ろう」と彼と決めたのだ。
今日、僕がビーチサンダルを履いてこればそれができたかもしれない。
来月はどうだろうか。彼はビーチサンダルを履いてくるだろうか。微妙なところだが、「ビーチサンダル履いてくる?」と確認してしまっては興醒めてしまう。微妙なところだ。

いつも通り、ズッカ、ギャルソン、コルソコモを回って昼食のため、ウェンズデーへ向かう。
途中、彼の意向でディオール オムに入る。

彼:「エディが今期で最後なんだって」
僕:「へ〜、後任は?」
彼:「何ちゃらって人だけど、ぜんぜんディオールよ」
僕:「ふ〜ん」
彼:「で、エディが今期で最後だから、ディオール買ってあげるよ」
僕:「えっ?!」
彼:「誕生日プレゼント」
僕:「マジで!!」

当然のプレゼントでちょっとびっくりした。
いや、今月は僕の誕生月なので今日はプレゼントをもらえるとは思っていたけれどまさか、こんな切り口で来るとは思わなかった。
先月も会っていなかったので今年はお互いの誕生日プレゼントをお互いに探したりしていなかったから。
結局、僕はネクタイをプレゼントしてもらった。
シルクではなくウールなのでディオールでも心なしかかわいらしさがある。
品物を出口まで店員さんが持って彼に渡そうとすると彼は「さわさんに」と無言で店員さんに指示する。
店員さんは「あ、そういうこと」と察して僕に袋を渡す。

僕:「あの〜、プレゼントされておいて申し訳ないんだけどさ、袋持ってくれない?」
彼:「・・・」
僕:「いや、だっていつもそうじゃん。いつもジョナサンで『はい、プレゼント』ってするじゃん」
彼:「・・・」
僕:「そして、ディオールの袋、恥ずかしい・・・」
彼:「恥ずかしいよね、ディオールの袋。だから今回だけはダメ。それ持って歩いてください」
僕:「え〜、ありがとう・・・」

その恥ずかしい袋を 1日中持ち歩きながらおデートをしました。
途中、休憩中の彼が暑そうだったので飲みきれなかった Volvic を彼の足にぶっかけてあげました。
気持ち良さそうにしている彼にペットボトルに張ってあるこの広告を見せてあげました。
ふたりして苦笑い。
コルソコモでヴィヴィアンのカーディガンを買いました。

彼と僕の手のこと

とあるおデートの日に僕から彼にこんな会話を仕掛けてみると

僕:「ねぇ、指と指の隙間ってさ、何のためにあるか知ってる?」
彼:「・・・、ちょっと待ってね。考える」
僕:「・・・」
彼:「・・・」
僕:「・・・」
彼:「・・・。わかんない!何!?」
僕:「お互いのそれを埋めるためにあるんだよ」

彼はこんな会話を返してきた。

彼:「例えばね〜。あ、あそこのふたり。身長差は 20cm くらいあるでしょ?」
僕:「うん」
彼:「でも、ふたりの手の位置ってさほど変らないでしょ?」
僕:「うん」
彼:「それって、やっぱり手をつなぐためなんだよね」

ソウルメイトなんじゃないかと思う。

1月の彼と僕のこと

まいった。寝る前にシャワー浴びておけばよかった。

今日は彼とデートの日。
昨日夜更かしした僕は朝にシャワーを浴びようと決めてそのまま寝てしまった。
朝起きて浴室へ向かうとすでにお姉ちゃんが占有していた。
「かくかくしかじかで30分遅らせてよい?」
そう彼にメールを打つと、「わかった」とだけ返事が来る。
そんな出だしで今日のデートがはじまった。

待ち合わせ場所へ着くといつも通り彼はすでにベンチに座っていた。
缶コーヒーを片手にベンチへ座ると、「寒い!」ふたりしてそう言った。
彼はすでに缶コーヒーを飲み終わってしまったらしい。
いつもならここでふたりで缶コーヒーを飲みながら今月のエトセトラを
話しはじめるのだけれど今回は煙草を1本吸って隣のズッカに入った。
青山ではズッカ、ギャルソン、コルソコモを回る。
ギャルソンでの会話。

僕:「あ、変なのがいる」
彼:「ミッキーらしいですよ」
僕:「うそー?ミッキーなの?」
彼:「うん、ミッキー。昔のミッキー。オズワルドって言うらしいですよ」
僕:「・・・。ほんどだ。OSWALDって書いてある」
彼:「うん」
僕:「ん?LUCKY RABBITって書いてあるよ。ねずみじゃないんだ!」
彼:「ほんとだ」
僕:「オズワルドってあれ?ケネディー暗殺した人?」
彼:「確かそう」
僕:「ジョンは?ジョン撃った人は?」
彼:「・・・誰だったけなぁ」

青山では何も買わずそのまま原宿のウェンズデーへ。
僕はやっぱりウェンディーズチーズのポテトのセット。ポテトだけLサイズ。
彼もウェンディーズチーズのポテトのセット。ポテトはMサイズだけど。
ふたりともウェンディーズチーズなんで「一緒に注文しようか?」と僕。
「うん」と彼。
僕らの番が回ってきたので店員さんに「ウェンディーズチーズのポテトのセットをふたつください」
と注文すると、「ふっ、ふたつ!!!!」と店員さん。
それを隣で見ていた彼は笑いを堪えるのに必死。
何なんでしょうか。僕がセットをふたつ食べると思ったのでしょうか。
食事をしながらその店員さんの話題でひと盛り上がりする。
その後僕らは遊歩道を歩きながら渋谷へ向かう。

渋谷ではパルコのズッカと united bamboo を見る。
「わにとかげぎす」の2巻を地下の本屋で買う。
それと僕のショコラの電池が切れてしまったので別のパルコの時計屋さんへ。
時計屋さんにて。

僕:「あの〜、電池交換していただきたいんですけど」
店:「お引取りになりますけど」
僕:「今日できないんですか?」
店:「デジタルなんで」
僕:「じゃあいいです」

店を出た彼と僕。

僕:「今日仕上がらないんだ?」
彼:「みたいだね」
僕:「電池交換なんてパッとやって(ふた開けて)パッとやって(電池交換して)
   パッとやる(ふたを閉める)だけじゃんねぇ」
彼:「うん」
僕:「店員の感じが腹立たしかった。『デジタルなんで』って何?」
彼:「何だろうね?僕の場合はすぐでしたよ。デジタルとアナログでそんなに違うの?」
僕:「わかんない」
彼:「わかんない」

結局、今日の僕の目的であるショコラの電池交換はできず仕舞い。
その後パルコの外の階段でドリンク休憩。
休憩中の会話。

彼:「ねぇ」
僕:「ん?」
彼:「好きな人とするセックスと好きでもない人とするセックスで
   身体的な気持ちよさって変る?身体的なね」
僕:「・・・」
彼:「変らないと思うんだよね」
僕:「・・・。変らないんじゃないかなぁ・・・。」
彼:「それをね、『好きな人とのセックスの方が気持ちいい』って言うの」
僕:「変らないと思うけどねぇ」
彼:「変らないと思うんだけどさ。それをわかってくれないんだよねぇ」
僕:「でも、その質問されるのいやだね。
   好きでもない人とセックスしたことがあるってこと前提で質問してるの?」
彼:「・・・」
僕:「・・・」

最近、パルコの周りの自動販売機とゴミ箱の位置が変ってしまった。
それに合わせて僕らの行動パターンも変えざるを得ないのだがいまだ定着していない。
まず「ドリンクをどの自動販売機で買うか」。そして、「缶をどこのゴミ箱へ捨てに行くか」。
これがなかなか難しくて、ドリンク休憩した後に行きたい店があるがその店の方向へ
歩いていくとゴミ箱がない。
ここ3,4ヶ月かけてあっち行ったりこっち行ったりしている。
そんなことを思案していると彼が言う。

彼:「あのさぁ。今みたいにこういろいろ考えるじゃん」
僕:「うん」
彼:「その努力をさ、汲み取ってくれないんだよね」
僕:「・・・。あぁ、ある!むしろ機嫌悪くなることがままある」
彼:「そう!機嫌悪くなるの。もう悲しくて。こっちはこんなに頑張って考えてるのに」
僕:「うんうん、『もうどっちだっていいよ!!』みたいな感じでしょ?」
彼:「そう!」
僕:「まぁ、どっちでもいいけど、うまく行ける方がいいよね。
   そして、うまく行けるパターンが思いついたときって気持ちいいよね」
彼:「そうなんだよなぁ。それをわかってくれないんだよぁ」

その後、原宿へ戻り一通りぐるっとする。
ぐるっとしている間の会話。

彼:「新宿区新聞、みたいなものがあるんですよ」
僕:「うん」
彼:「新宿区のことが書いてある新聞なんですけどね。
   そこに伊勢丹の初売りの売上が書いてあったんですけど、
   いくらだと思います?27億だって」
僕:「すごいね。買いすぎだね」
彼:「何?福袋?」
僕:「じゃない?」
彼:「で、で。初売りの先頭に並んでた人って前日の午後7時からだって。新聞載ってた」
僕:「よくやるね」
彼:「よくやる。絶対無理」
僕:「でも、僕は一緒ならできるけどね」
彼:「来年やります?新聞載りますよ」
僕:「やる!載る!
   でも、泊り込みでしょ?寒いよ。どんな装備すればいいんだろうね?」
彼:「いろいろ持っていくんでしょうね」
僕:「じゃ、人生ゲーム持っていこ」

今回も僕らは手ぶらである。
ここ数ヶ月間はデートするものの買い物をしていない。CDくらいである。
ということで、今月はもう一度青山へ行くことにした。
ギャルソン、コルソコモを回る。
手ぶらだ。
「ねぇ、ねぇ。せっかくここまで戻ってきたんだからミュウミュウの店員さんを視姦して行こうよ」
と僕。
「視姦だけでいいんですか?」と彼。
「うん。視姦だけでいい」
そうやってミュウミュウの大きな窓を横目で通り過ぎるも納得のいく視姦はできなかった。
やっぱり手ぶらであるこの状態にも納得いかないのでズッカにもう一度寄る。
手ぶらだ。
「旦那の店寄ってく?」と僕。
「旦那?」と彼。
「井川遥の旦那」
「あぁ。・・・でもこっち来ちゃったし」
結局、青山でも何も買わなかった僕らはジョナサンに向かうことにした。
青山のズッカからジョナサンへ向かうとなると信号をふたつ渡らないといけない。
表参道と 246 の交差点で運がよければふたつの信号を大して待たずに渡ることができる。
どちらの信号も赤だった。

僕:「どっち?どっち?どっちの信号が青になるの?」
彼:「・・・こっち」
僕:「何でわかったの?」
彼:「こっちの方が人が多かったから」
僕:「さっすがぁ!」

そうやって僕らはまず表参道の横断歩道を渡った。程なくして 246 を渡る。

ジョナサンでは先月からカキフライがメニューに載っている。
僕はタンドリーチキン&メキシカンピラフと迷うもののカキフライに決めた。
先月もカキフライだった。
僕が迷っているのを見たのか彼はタンドリーチキン&メキシカンピラフに決めた。
ひと口もらおうと思っていたがあまりにもカキフライガおいしかったので
もうらうのを忘れてしまった。
食後の会話。

僕:「君と僕が・・・声を合わす、・・・世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」
彼:「・・・」
僕:「君と僕が夢を叫ぶ、世界はそれを待っているんだぜ」
彼:「・・・」
僕:「・・・。いや、何か最近そういう単純なことが妙に響いたりするだよね」
彼:「ふ〜ん」
僕:「いや、あれよ。『こんな安い言葉なんかに』なんてのはあるんだけどね。
   ほら、許すとか許さないとか自由になりたいとかあったじゃん。
   それ以来何かねぇ・・・。何か変ってきたのかもしれない」
彼:「・・・。じゃ、歌詞つながりで。
   『さまよう僕らのフューチャー』、『さまよう僕らがフューチャー』
   どう?」
僕:「・・・、うまい。うまいね!」
彼:「でしょ!一文字だけなんだよね、違うのは。でも、意味が180度変ってるでしょ
   うまいよな〜」
僕:「うん、うまい。そりゃ聴くね。歌詞カードだけでも楽しめるよ」

ひとしきり会話を楽しんだ後デザートを食べる。
ハニートーストをふたりでひとつ。
これは昔ジョナサンにあったんだけど程なくしてなくなってしまった。
それが先々月から再びメニューに載ったのだ。
もちろん先月も僕らはそれを半分ずつ食べたのだが、店員さんは僕らのどちらかが
食べるものだと思ったのかナイフとフォークを一組しか持ってこなかった。
僕はフォークで、彼がナイフで食べたのだが彼はナイフでハニートーストを食べるのに
苦戦していた。
それを思い出した僕は「今回はフォーク使っていいよ。僕がナイフで食べる」と言う
「いいよ。サワさんこぼすから」と彼が言う。
彼の厚意で今月も僕がフォークで彼がナイフでハニートーストを食べる。
が、自らナイフを手に取った彼はバニラアイスはこぼすわハニーはこぼすわで大変だった。
「来月はフォーク使っていいからね」と言う僕に彼は苦笑いを返す。

時間もいい頃合になったところで僕らは会計を済ました。
ジョナサンの階段から明治通りの広告がいくつか見える。
そのいくつかに目をやっているとEDWINの広告が視界に入ってきた。
が、その瞬間に視界から全ての広告が消えた。
すっころんだ。

彼:「何してんの?」
僕:「いた〜い、おしりがバウンドした。ドンドンって、ツーバンした」
彼:「あと20,30年したら致命傷ですよ」
僕:「確かに。カルシウムとっておく。
   いやね、あそこにさ、広告出てるでしょ」
彼:「うん」
僕:「EDWINの広告に『skinny denim』ってあるでしょ。
   あれ見たときにね、『あ、だからskinny deminって言うんだ』って思ったの。
   豆電球が光ったんですよ。そしたらすっころんだ」
彼:「気を付けてくださいね」
僕:「うん」

寒空の中、おしりを撫でながらタワレコへ向かう。
その途中で「人志松本のすべらない話」の中で彼お気に入りの
すべらない話をふたつ聞かせてもらう。
ふたつとも笑った。
タワレコで彼は洋楽の何ちゃらというバンドのCDを買う。
僕は Jazztronik のCDを手にするが気が進まなかったので棚に戻した。
結局、今月僕が買ったのは 525 円のマンガ1冊だけ。

僕がいつも転んだりすべったりしているから、もう転んだりすべったりしないように
タワレコに向かう途中ですべらない話をしてくれたのかな?
なんて「1月の彼と僕のこと」を書き終えて思ってみたりもした。

久しぶりの彼と僕のこと

一年ぶりの彼と僕のこと。

一年間彼と会っていなかったかと言えばそうではない。
月一回会っていた。
「今月はこの週末に会うんだろうな」
なんて思っていたらちょうど今日、彼からメールがきた。

彼:土曜日だいじょうぶ?
僕:だいじょうぶだぁ。
彼:だっふんだ。

これだけ。すごいでしょ。
ここ数ヶ月はこんな調子で会う約束をするんです。
何がすごいかってメールの短さじゃないです。
待ち合わせの場所と時間を確認してないんです。
「じゃ、いつもの場所でね」的なやりとりは一切なし。
それに気づいたのも最近なんだけどね。
月一回デートする。そんなのをかれこれ3,4年繰り返してきたからなぁ。

今週の土曜日の午後1時に南青山のズッカのとなりの広場のベンチで僕らは待ち合わす。
背が高くて眼鏡をかけているのが彼で、背が低くて眼鏡をかけているのが僕。
5年間彼と歩きつづけた散歩道を今月も僕ら飽きもせずに歩く。

12月の彼と僕のこと

彼:「明日一時でいい?」
僕:「いいですよ。」
彼:「はい。じゃあまた明日。」
僕:「また明日。」

今回はこんな感じ。二人で合計4通のメールでデートの約束。
明日は何するんだろうか?
僕は買うものは特にない。と言うか、最近ひとりで買い物を済ませてしまった。
年末に彼と会う予定を入れていなかったから。
デート当日、約束のベンチには彼の姿はなかった。どうやら今日は僕が先に着いたみたいだ。
さっき買った缶コーヒーは開けずに彼を待つ。
程なく彼がやって来る。手には缶コーヒーを持っていない。

「今日、僕何も買う物ないよ。この前、ひとりで買い物しちゃったもん」
「僕も結構買った。買いまくったよ」
そう言った彼を見てみると見慣れないコートを着ていた。
「それ、マッキントッシュ?」
「うん」と彼。
「どう?」
「超寒い!コートの中に着るものが欲しい」
「じゃ、今日はそれ探そうか」
「うん」

マッキントッシュのコートは寒いらしいです。
こうやってまた僕らが会っていない一ヶ月の間に起こったエトセトラを話しはじめる。
まず、僕が聞きたかったこと。くるりの「ランチ」という曲について。
先月、彼に「ランチ」という曲がどういう曲なのかを訊ねたら
「コーヒーを沸かす曲だよね?それくらいしか思い出せない」と言う。
「じゃ、来月また聞くからそれまでに聴いておいてね」と僕は言って一ヶ月間待っていたのだ。
そうして一ヶ月経った今日また彼に聞いてみた。

僕:「そうそう、『ランチ』聴いた?」
彼:「ランチ?」
僕:「そう、『ランチ』。さよならストレンジャーの」
彼:「忘れてた。言ってたね、そう言えば。ごめん。」
僕:「がび〜ん!」
彼:「『がび〜ん』って古いよ、サワさん」
僕:「うるさいよ。がび〜んだよ。がっび〜んだよ。一ヶ月待ってたんだからね。
   じゃ、また来月ね。来月聞くから聴いておいてね」

彼の一ヶ月のエトセトラを聞いているととても忙しそうだ。仕事ではなくてプライベートが。
そんな忙しい一ヶ月を過ごしていた彼は先月僕と話したことをほとんど覚えていなかった。
先月、帰りがけに月が出ていなくて「家に着く頃には出てるんじゃない?」と言ったことも忘れてた。
二人して既にひとりで買い物を済ませてしまっているし。
おまけに、「ギャルソン閉まってるよ」と彼が言う。
青山は回るとことはズッカのみ。しかも、僕がひとりで買ったトラバイユのパンツを取りに行くだけ。
ズッカに寄って用を済ますとそそくさと青山を後にして原宿のウェンズデー、僕がウェンディーズ
を間違えてそう読んだことから・・・11月の彼と僕のことを参照。
今日も今日とて僕はチーズバーガーのLサイズのセットを、彼は何かしらのMサイズのセットを注文する。
昼食の間、今日はどこを回るか話してみる。
が、二人して何も出てこないのでいつも通り渋谷へ行って原宿に戻ってきてジョナサンのコース。

渋谷のパルコの階段でドリンク休憩しているときの会話。

僕:「ねぇ、『なりたい自分』ってある?」
彼:「なりたい自分?」
僕:「うん、なりたい自分。よく言うでしょ?人生の目標的なのも?」
彼:「ないかな・・・。なってどうするの?」
僕:「だよね!なってどうするんだろうね?
   音楽聴いて、映画観て、本読んでいられたらハッピーだよね」
彼:「うん、それができれば十分だよ」
僕:「『なりたい』っていうか、むしろ、取り戻す感覚だよね」
彼:「だね」

休憩を終えて原宿をぐるっと回っても時間はまだまだある。
大したあてもなく歩いていると表参道ではどこの雑誌だかわからないけれど
街の人を写真に撮ってたりする。別にめずらしい風景ではない。

僕:「ねぇねぇ、二人で写真撮られたくない?」
彼:「撮られたい。ひとりだったら断るけれど二人ならむしろ載りたい」
僕:「ねぇ〜、載りたいね。ちなみに、どこがいい?」
彼:「う〜ん、springかな」
僕:「いいね」

まだまだ時間はある。
街の人を見ていると迷彩柄のパンツやらN3Bやらミリタリー物を着ている人が目に付く。

彼:「戦争でもはじまるのかな?」
僕:「あ、6時から戦争あるらしいよ」
彼:「えっ、6時?」
僕:「うん、新聞に載ってたよ」
彼:「そうなんだ。僕達も行く?」
僕:「いいけど、こんな服じゃ行けないよ」
彼:「じゃ、戦争グッズ見に行こうか?」

そうやって僕らは古着屋巡りをはじめた。
「かっこいい」とか「かわいい」とかでミリタリー物を身にまとうってどうなんでしょうね?
かたや、涙を流しながら袖を通している人もいるのに。
着る人が着れば、それは立派な死装束になるんです。
それをファッションにしてしまう人ってちょっと怖いです。何か狂ってます。
まぁ、確かにこっこよかったり、かわいかったりしますけどね。
そんなことを考えているかいないかは別にして僕も彼もミリタリー物を着ない。
そんな馴染みのない服を改めて見てみるとよくできている。
「ねぇ、このボタンって何のために付いてるの?」
「袖がびろびろってならないようにじゃない?」
「なるほどね、袖が何か引っ掛かってる間に死んじゃうね」
「死んじゃう、死んじゃう」
何件か古着屋を回っていると彼が試着してみたいと言う。
実際着てみるとすごく恥ずかしい。見慣れないせいもあるかもしれないけど。
彼自身も恥ずかしいと言う。
しかも、その試着の最中ボタンがうまく留められなかったり、袖がうまく通らなかったりと
時間がかかった。
「そのジャケット着る間に3回くらい死んでるよ」
苦笑いをする彼。
結局、戦争グッズは買わないことにした。

ちょっと早いけれどそろそろジョナサンへ行くことに。
ジョナサンで話したこと。

・彼は新宿が割と好き。
・僕は九段下と神楽坂が好き。
・意外にも彼も九段下と神楽坂が好き。
・じゃ、今度引越しするときは九段下か神楽坂の同じマンションの隣同士にしようか。
・でも、九段下って新宿区じゃないんだよね。
・新宿区で言うなら、四谷もありだね。丸ノ内線が通ってるしさ。
・「神楽坂って『楽しい神がいる坂』かな?」
 「『神が楽しむ坂』かもよ。」
 「どちらにしても楽しい坂であることは間違いないね。」
・niuが結婚するみたい。そんな相手がいるなんて僕は聞いてない。ショッキング。

くらいかな。

今回はジョナサンを早めに切り上げてタワレコへ向かった。
僕はGREAT 3の「May and December」を買った。
去年の11月26日に作ったポイントカードは54になった。
単純計算すると500×54で27000円。枚数に換算するとアルバム9枚。
わりと少ない気がする。
タワレコでの買い物が終わったらレコファンへ。これもいつものコース。
そこで僕はGREAT 3の「WITHOUT ONION」を買う。
相変わらず、僕の部屋は無印のラックに入りきらないCDたちがいっぱいいる。
彼はここでもCDを買わなかった。
今月はCDなし。と言うの、ひとりで買ってしまったらしい。んもぉ〜。

地下鉄のホームに向かう途中での会話。

僕:「ねぇねぇ、すっごい失礼なことではあるけれど、そこら辺にダンボール敷いて
   寝てる人いるでしょ?ああいうの一度やってみたくない?
   二人でさ、横になりながらず〜っとおしゃべりすんの」
彼:「楽しそうだね。昔よくやったね」
僕:「うん、よくやった。懐かしいね。
   横になりながら煙草吸って雑誌めくってたね」
彼:「懐かしいね」
僕:「あれ思い出す。・・・、灰皿。あの灰皿思い出すんだよね」
彼:「あ〜、それも懐かしいね。まだ使ってるのかな?あの灰皿」
僕:「どうだろうね?使っててほしいけどね」
彼:「使っててほしいね」

ちょっと感傷的なお話でした。

時刻表を見てみるとちょっと中途半端な時間。
僕らがいつも乗る電車は東部線直通東武動物公園行き。
次の電車は押上止まり。次の次の電車がくるまで15分くらい待たないといけない。

彼:「東武動物公園行きでしょ?」
僕「いや今日は押上行きでいいよ」
彼:「いいの?」
僕:「うん。寄るとこがあるから」

こういう場合、彼はいつも僕の電車を待ってくれる。
いいでしょ?
でも今日は押上行きに乗る。
九段下で新宿線に乗り換えて新宿へ。
くるりの「グッドモーニング」を延々と聴く。

11月の彼と僕のこと

彼:「明日何時がいい?」
僕:「12時」
彼:「オッケ。じゃあ、また十二時間半後。」

今回はこんな感じ。連絡はだいたい彼の方からよこしてくる。今回は二人合計3通のメールで終わった。
待ち合わせ場所は青山のズッカの隣にある広場のベンチ。
そこを待ち合わせ場所にしてからかれこれ3年が経つだろうか。
彼と僕の間では「待ち合わせ場所はどこにしようか」という会話はもうない。


デート当日。よく晴れた11月のある土曜日。
待ち合わせ場所の広場に行くと彼はすでにベンチに座っていた。見慣れた風景だ。
僕は途中で買った缶コーヒーを握り締め彼の隣に座る。挨拶は特にしない。
まずは、ここで缶コーヒーを飲みながら煙草を数本吸い少しおしゃべりをするのだ。
でも、そのおしゃべりはすぐにははじまらない。
煙草に火を点けて、缶コーヒーのふたを開ける。
煙草の煙を肺まで入れたらコーヒーを一口飲む。
コーヒーが食道を通過してから煙草の煙をゆっくり吐く。
彼に教わった吸い方だ。こうすると煙草の味が少し変わる。もちろん、コーヒーによって変わる。
そうやって何回か煙を吐きながらお互いがお互いを見るのだ。
髪の毛が伸びたとか見たことないジャケット着てるとかベルトが変わってるとか。
前回会ったときのことを思い出しながらちょっと見る。
「少し髪が伸びたね」
特にそうは思わなかったけどそろそろおしゃべりをはじめようかと思っていたら彼が先に口を開いた。
「お祭わっしょい!!」
僕は口に含んだばかりのコーヒーを噴き出してしまった。
やられた。みごとな先制攻撃だ。口撃だ。どうやら、くるりの新譜を買ったようだ。
「何?そのPコート」僕が口の周りについたコーヒーを拭っていると彼がまた言った。
「ん?これ?買っちゃった。マフラーも一緒に。なが〜いマフラー。
 東京でじゃないよ。岩田屋ってとこ」
そう言うと僕はコートにまつわるエトセトラを彼に話しはじめた。
そんな会話から前回会ってから今日までに起こったことをサラッと話しはじめる。ほんとにサラッと。
今日話すことの目次みたいなものだ。


ズッカ、ギャルソン、コルソコモ、アラン ミクリなどなど。
僕らは青山をぐるっと周り、原宿のウェンズデー、僕がウェンディーズを間違えてそう読んだことから
僕らの間ではウェンズデーとなった。そのウェンズデーで昼食を摂る。
僕はチーズバーガーのLサイズのセットを。彼は何かしらのMサイズのセットを注文する。
ここ数年こればかり食べている。習慣だ。
もちろん、飲み物は二人ともコーラ。それ以外はありえない。
Lサイズのポテトは食べられるけどLサイズのコーラは飲み切れないので彼のMサイズのコーラと交換する。
いつからかこの交換も習慣となった。


昼食を摂った後は原宿をスルーして遊歩道から渋谷へ向かう。
とりあえず渋谷に着くとパルコをぐるっとする。その後、外の階段でドリンク休憩。
が、いつものパターンだが今回はドリンク休憩はしなかった。そのまま原宿へ向かう。
途中、明治通りで僕が「ドリンクしたい」と告げると「じゃ、ベンチに座ってドリンクしよう」と彼が言う。
ベンチに座りながら煙草を吸い缶コーヒーを飲む。道を歩く人を見ながらおしゃべり。
僕らが男の子であるせいだろうか、自然と女の子を眺めることが多い。二人して。
「あのコートがかわいい」だとか「パンプスがかわいい」だとか「やっぱ黒髪だよね」とか。
僕らは黒髪が好きだ。これは男の子も女の子に対しても。黒髪以外は考えられない。
ドリンク休憩中の会話。

僕:「早く女の子になりたいな〜」
彼:「僕も」
僕:「二人とも女の子になったら意味なくない?」
彼:「でも、僕も女の子がいい」
僕:「だって僕が男の子で君が女の子だったら、君は僕のこと選ばないでしょ?絶対」
彼:「そんなことなよ」
僕:「マジで?!でも、僕が女の子だったらすっごいエロいよ」
彼:「マジで?!」
僕:「世界でいっちばんスケベなことしてもええよ」
彼:「何それ?」
僕:「ジョゼ」
彼:「あったね、そんなの。僕らがしてるのって世界で何番目くらいなんでしょうね?」
僕:「どれくらいだろうね?」
彼:「きっと下から数えた方が早いんでしょうね」

ドリンク休憩を終えた僕らは古着屋へ行った。そこで僕ははじめてちゃんとした501を購入。
「これにさ、エナメルの黒いパンプスとか合わせたら言うことなしだよね」と僕。
「かわいいね」と彼。
僕らはよくレディースの服をよく見る。僕が小さいので普通にパンツやコートなんかは女の子のものを着る。
実際、この日着ているPコートも女の子用だ。
「このスカートにあの靴を合わせてヘッドホンを着けてたらかわいいよね」
そんな会話をしながら原宿のジュンヤワタナベへ向かう。
そう、今日の目的は彼に誕生日のプレゼントをあげること。2ヶ月遅れのハッピーバースデー。
最近、僕が仕事で忙しかったから。決して多くはないが会いたいのに会えない人が数人いる。
もう会うことすらできない人もいる。
去年はギャルソンのリュックをあげた。今年はジュンヤとナイキのコラボのスニーカー。
年々高くなっている気がする。
これは彼が一昨年くらいから欲しい欲しいと言っていたスニーカー。3年経った今プレゼントする。
今年僕が何をプレゼントされたかと言うと、ギャルソンのシャツ。PALYのYシャツ。
仕事でスーツを着るときにちゃんとしたYシャツがないから欲しいと言ってプレゼントしてもらった。
試着のとき以来まだ一回も着ていない。買った時そのままの状態で袋に入っている。
スーツを着る機会がないのだ。今僕が携わっているプロジェクトのクライアントがスタイリストや
ヘアメイクなんかのスタッフの事務所ということもあり往訪のときも私服で大丈夫だから。
プレゼントのYシャツに袖を通すのはいつになるやら。やれやれ。


古着の501だけでは消化不良なので青山のズッカへまた向かう。15000円分のポイントカードもあるし。
途中、246の信号が赤に変わりそうになったので僕らは走りす。ちょっと出遅れた僕に彼は
「早く、早く」と言って手を差し出す。僕はその手を握る。ちょっとしたコントだ。僕らはよくコントをする。
彼の手は僕より冷たい。
彼の手の温度を知っている男の子はこの地球上で僕だけだと思う。
向かうもののやっぱり欲しいのもがないのでコンビニでspringを買ってそのままジョナサンへ。
とりあえず、食べる。
ジョナサンでの会話。

彼:「甘いのもはいいですか?」
僕:「そうだなぁ。パッフェドショコラがいいな〜」
彼:「じゃぁ、僕はパンケーキ」
僕:「何でよ。パッフェドショコラ食べようよ、一緒に」
彼:「えぇ〜、いいよ。サワさん一人で食べなよ」
僕:「二人で食べるもんでしょ。こういうのって」
彼:「だって、おいしそうじゃないんだもん」
僕:「じゃ、いらない」
彼:「じゃ、僕もいらない」

3回くらい。時間をおいていつもこの会話を3回くらい繰り返す。これもコントだ。
ただ、僕の誕生日のときにはパッフェドショコラをおいしいと言いながら一緒に食べてくれた。
食後にspringを二人で見ながらおしゃべり。
Reiというハーフっぽいモデルがツモリチサトを着ていた。
「外人にはツモリチサトは似合わない」
これに彼と僕は同意した。あ、あと、今宿にA.P.C.は似合わない。彼の方が似合っている。
花楓がかわいくなっていた。彼はこれには同意してくれなかった。
ヘッドホンについて。

彼:「サワさんのヘッドホン見せてくださいよ」
僕:「はい」
彼:「SONYなんだ。いくら?」
僕:「うん、SONY。何かんだで20000円」
彼:「やっぱ、SONYだよね。あ、BOSEってどうなの?」
僕:「音はいいよ。でも、形が嫌。グロイし、アメリカだし」
彼:「アメリカは嫌だね。NASAとかどうでもいいよね」
僕:「スペースシャトルのスピーカーに使われてるね。別にスペースシャトルに乗って宇宙に行くわけじゃないし」
彼:「音楽聴けば宇宙に行けますよね」

そんな会話を楽しんだ後、彼は僕がプレゼントした靴に履き替えた。僕も今日買った501に履き替えた。
「あ、軽い。何だかいつもり速く走れそう」と彼。
僕らはその日買ったものをその日に着替えたりする。
服を買ってお会計で店員さんが袋に詰めているときによく「へぇ〜、着て帰らないんだ」と茶々を入れる。
もちろん、言われた方は「着て帰ります」と店員に告げる。礼儀だ。むしろルールだ。そういう理不尽なルール。


10時前にジョナサンを出て渋谷のタワレコに向かう。昼間は人がたくさんいて買い物どころではない。
前回のデートのとき、しきりに空を見ている僕に彼が言った。

彼:「何探してるんですか?」
僕:「ん?月。出てないのかな〜って」
彼:「月?出てないんじゃない」
僕:「そんなことないよ。だって、ほら。あそこに星が出てるもん。ビルに隠れてるのかなぁ」
彼:「お休みしてるんじゃない?疲れちゃうでしょ。365日ずっと地球の周りぐるぐるしてたら」
僕:「そっかぁ、お休みかぁ。それじゃ仕方ないな」
彼:「サワさんが家に着く頃には出てますよ」
僕:「じゃ、その頃また見てみる」

今回も僕がしきりに月を探していると彼が言った。「そう言えば、出てたでしょ?月」
「うん、出てた」と僕は返事をする。
残念ながら今日も月は出ていなかったので家に着く頃にもう一度見てみることにした。
タワレコで彼はCDを一枚購入。洋楽だったけど何を買ったか聞くのを忘れた。
僕はThe White Stripesの「ELEPHANT」を購入。このアルバムのプロデューサーのリアム・ワトソンは
くるりの「NIKKI」のプロデュースもしている。「Baby I Love You」のPVでドラムを叩いているのが彼だ。
その後、レコファンで僕はクレモンティーヌの「Cle」と宇多田ヒカルの「DEEP RIVER」を購入。
今月はCDを10枚くらい買っていると思う。
帰りは半蔵門線で押上まで一緒。その間、タワレコでもらっておいたbounceを二人で読む。
今月はHIPでHOPな人がたくさん出ていたがまったくわからない。
僕らはそんなHIPでHOPな人を見て「怖いね」と言う。


押上で彼とバイバイした後、音楽を聴きながら僕は目をつぶる。
僕が目を覚ましたとき電車は越谷に着いていた。僕が降りなくてはならない新越谷の次の駅。
最近よく乗り過ごす。新越谷で降りれば定期が使えたのだが越谷だと使えない。
戻るのも面倒なので560円払って越谷で降りた。
疲れたいるのだろう。でも、彼と一緒ならば楽しい一日を過ごすことができる。
こんなデートがあと50年続くのならばそれはそれで素敵だと思う。
改札を出て空を見上げるとあいにくの曇り空で軽く雨が降っていた。
「出てなかったね」
今度彼に会ったときはきっとそんな会話をするんだろう。

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